ロト6・3等60万当選、その瞬間

ガリガリ君の「当たり」が今年10本目となった。

うち7本は夏期講習会中の「漢字ビンゴ」の賞品として小学生にあげてしまったので、手元には3本しか残っていない。昔からこういうちっちゃい当たりは結構ある。

実はここだけの話であるが、ロト6の3等がヒットしたことがある。

がしかし、この3等というのは誠に憎たらしく、6個の数字のうち5個が的中したのに3等なのである。1つしか外れていないのになぜに2等ではないのかという恨みつらみは一生続くであろう。

なぜならば、当選金の差が1等と2等の場合ゼロ1つに対し、2等と3等は2ケタも違う。つまり、1等は億であり2等はウン千万であるのに対し、3等はミリオンではなく数十万円となる。なぜであるか。ミリオンとは相性が悪いのであろうか。恨みを買う覚えもブロックされる覚えもまったくないのであるから、誠にもって理解しがたい。

といっても、昔の話である。独立直後の頃だった。

K奈子さんと「シェーキーズ、食べたいよなぁ」という話になり、横浜駅西口に出かけた。昔は町田とかいたるところにあったのに、今はとんと見かけない。が、あのパリッパリのピザとちょっと辛めのポテトがときに無性に食べたくなって仕方がない時がある。ビールとの相性は素晴らしく良い。

いい感じで酔っ払いかつお腹もふくれたので、さて帰えんべぇか、という時にふと見ると宝クジ売り場があったので胸ポケットに入れておいたロト6を出した。言うまでもなく紳士のたしなみとして毎週決まった番号を購入している。塾独立直後だったのでとくに気合を入れて買っていた頃だ。なお、気合を入れてもまったく効果はない。

当選番号は必ずチェックするのは当たり前。生徒答案の採点以上に目を凝らし、かつ二重三重の確認をする。が、なぜかその時はチェックをせず、胸ポケットに入れたままだった。

「これ、お願いしま~すっ」と酔っ払いながら窓口に出した。いつもなら「残念でしたね、次回こそ大きな当たりがきますように」とおばちゃんに言われるだけなのだが、この時は判別機に入れた途端に「ピコーン」と何かが鳴った。

おばちゃんが「あっ」と言った。

次回のロトを買おうとポケットからお金を出そうとしていた私は何が起こったかわからず、何の音だと思いまわりをキョロョロ見渡した。

K奈子さんはティッシュ配りに捕まっていた。

一瞬、時が止まったが、持ち前の金に対する鋭敏な感覚がすぐに呼び起こされ、これはキタのかっとこぶしを握りしめた。いつもなら5等当選が精一杯で「アタリ 900円」みたいなショボい表示がされるのだが、それがない。周囲の人にわからないように高額当選の場合は当たり金額が表示されないのだ。よって、逆に期待が高まる。

おばちゃんはさっきから「ああ…」とか「ひぇ~…」とかつぶやいている。そして私を指で手招きし、声をひそめながら「当たりましたよっ。銀行に持っていってください。ここでは換金できませんから」という。5万円以上は宝くじ売り場では換金できない。実に素晴らしいではないか。興奮度MAXである。

しかし何等が当たったのか、そして肝心の当選金額がわからない。後ろに誰もいないことを確認してから、意を決しおそるおそる聞いてみた。

するとおばちゃんはより一層声を低くし「番号1つだけ違うの。他は全部当たってる」と手を口元にもってきながらささやく。私は心の中で叫んだ。1つだけ違うってことは、億じゃなくても数千万かっ!

一瞬だがハワイの絶景が目の前に浮かんだ。行ったことないのに。

するとすかさずおばちゃんが「3等ですよ~」といった。へっと笑った気がした。3等がいくらなのかその瞬間はわからなかったのですぐに当選金額を確認した。60万円超だった。

微妙である。

一生のうち宝くじにアタルなんぞ1回あるかないかに違いない。どうせならガツンときてほしい。これで人生のアタリはすべて使い果たしてしまったのか。実に無念だ。俺の5億円はどこにいったというのか。はかなくもついに夢は果てた。

が、60万は60万である。よ~く考えるとじつに大金である。嬉しい。でも悔しい。

ティッシュ配りの次はなんだかわからないビラ配りに捕らえられていたK奈子さんを急いで連れ戻し、「おい、キタぞっ!」というものの、K奈子さんはなぜそうなったのか両手いっぱいのティッシュをカバンに詰め込んでいた。「キタんだよ、キタっ。いいから銀行いくぞっ」とこれまた駅西口のみずほ銀行に駆け込んだ。

なお、K奈子さんは若かりし時、JR横浜線十日市場駅前で宗教系の勧誘にまんまと捕まり「はい、あなたは今、あなたの未来が見えます」とおでこに手をかざされながら30分も神について語られた前歴がある。

また、家に来たこれまた怪しげな訪問販売に捕まり「仙台藩主ご用達・おばあちゃん秘伝!嫁ごろしの辛口赤味噌」という謎の宣伝文句に心を奪われ、あやうく味噌1㎏に30,000円も払いそうになった。部屋の奥にいた私が異変に気付きギリギリのところで食い止めたという前科もある。

ちなみにこの味噌事件には後日譚があって、家族全体で笑い者にしていたら私の弟のお嫁さんがその味噌を前日に買っていたので、さらにひっくり返って腹がねじれるほど笑った。せっかくなのでおすそ分けをいただいたが、ごく普通のマルコメ味噌であった。

というわけで、いつどこでどんな攻撃を受けるかわからないK奈子さんはオドオドしながらもギラギラした目で周囲を威嚇していた。私達に誰も近づくなという意思の表れだったのだと思う。

面白いことに銀行では「宝くじ売り場で確認されましたか」と聞かれた。どうやら自分で新聞やネットで確認して胴元である銀行に直接持ち込んでも、その前に宝くじ売り場で確認しなければいけないらしい。

運転免許証を出し、いろいろと書類を書いた。「口座に入れますか、現金にしますか」というので「もちろん現ナマで」と答え、待つこと30分くらいだろうか、普通に窓口で呼び出され、普通に渡された。60万程度は彼らにとって日常なのだろうが、こっちにしてみれば超大金である。「おおっ」と声が出た。

帰り道、私はニタニタし、K奈子さんは周囲はすべて敵!という顔で周りにガンを飛ばしていた。悔しさと嬉しさが入り混じる、なんともいえない様子だったが、きっと錯乱の一歩手前だったのだろう。 何度も何度も後ろを振り返り、かつ口からよだれみたいなものが出ていたように思う。幸いにも暴漢に襲われることもなく、なんとか無事に帰ることができた。

その金で杯盤狼藉の限りを尽くそうと画策したが、K奈子さんの強い強~い泣きによりその願いははかなくも消えた。独立して間もないころであれこれと支払いがたまっていたので、瞬時に消えたのである。60万なんてあっという間だ。

あれ以来、確率的にはもう2度とくるはずもないのだが、これもまた武士のたしなみとしてほんの数口だが買い続けている。半分近くは地域貢献に使われるというホントかウソかわからない言葉を信じ、寄付だと思って自分を慰めながら購入するのである。

が、しかしよくよく考えればたかが3等ではないか。1等をスマッシュヒットさせてこそ、日本男児である。

奇しくも本日はロト7の抽選日である。しかも令和1年11月1日であるから「1」が並ぶ。吉兆である。と思ったら、全国みな等しく誰もが1111であることに気が付いた。

惜しくも昨日のロト6は撃沈であった。カスリもしない。がしかし、それはすでに織り込み済みである。なぜならロト7はキャリーオーバー10億円であるのだから、こちらを呼び込むための呼び水にすぎない。人生何があるかわからない。だからこそ人生は苦しくもあり、楽しくもあるのだ。

「やんごとなき諸事情により塾は今年いっぱいで閉塾します」とツイートしたら、コイツやりやがったなと思ってください。

たぶんマレーシアかタイに行きます。

https://sagamihara.keishoseminar.com/

投稿者: keishoseminar

中学受験・高校受験「慶翔ゼミナール」 相模原市中央区相模原2-12-21 JR相模原駅 南口から徒歩5分、住宅街にある学習塾です。 自宅1階を改装し、妻と2人で全塾生を指導します。 今年で開塾18年目となります。朝塾、やっています。

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